生きてるみんな、生きてるか!!
突然何の挨拶だって感じかもしれませんが、これが今回のキーワードです。
今回紹介したいのは、VTuber2人組ユニット「BOOGEY VOXX」による1stアルバム「Bang!!」。このアルバムがとんでもない。今のVTuber界の天下を本気で狙うどころかその先を見据え、カルチャーを丸ごとひっくり返す程の気合を感じる傑作。絶対BOOGEY VOXXというユニットとこのアルバムのことは布教しないといけないと思って書きます。ぜひぜひ。
BOOGEY VOXXとは?
「バーチャルアンデッドユニット」として、キョンシーでリードボーカルのCiとフランケンシュタインでラップ担当のFraの2人からなるユニット。ファンからの略称は「ぶぎぼ」、挨拶は「生きてるみんな、生きてるか!」。2020年3月の活動開始から1年余りで現在までのYouTubeチャンネル登録者数は41400人、総再生回数338万回。さらに年越しにかけて開かれた「ASOBINOTES ONLINE FES 2nd」に出演するなど、個人勢でありながら急速に活動の幅を広げています。
彼らが注目される理由はその高い実力の他にないでしょう。Ciの透き通りかつパワフルな歌声とFraの卓越したリリックセンス。またV界隈のみならず幅広くトラックメイカーを招き強力なトラックが合わさることで、その注目は国外のみならず海外からも向けられるほど。
デビュー作にして代表曲である「D.I.Y.」もさながら、彼らの高い実力を垣間見れるのが去年V界を席巻した森カリオペの「失礼しますが、RIP♡」のカバー。単にカバーするだけでなく原曲のラップにラップでのアンサーを披露し、原曲の「失礼しますが死んでください」に対し「恐縮ですけど死んでま~す」というアンデッドならではの返し。原曲と自らの持つ世界観がハマった以上に自分たちのフィールドへの持っていき方が上手すぎる。原曲と合わせて絶対聴いておくべきカバーです。
アルバムの大目玉トラック「GOLDEN BATS」
アルバム全体の前に何より語る必要があるのが今回の新曲「GOLDEN BATS」。この楽曲はトラックメイカーPSYQUIによる書き下ろし。
PSYQUI氏といえばエレクトロと生楽器のサウンドを合わせたアグレッシブなサウンドが魅力で、代表曲「Don’t you want me」や「ヒステリックナイトガール」は国内外から注目を受けた日本のクラブシーンを代表するアーティストの1人。彼が過去にVTuberに提供した曲としてMarpril(マープリル)の「Girly Cupid」がありますね。
アーバンさのある歌部分と超高火力のドロップで見せるPSYQUIの真骨頂と言える曲。Marprilも歌・ダンス・映像の技術が圧倒的で、音楽系VTuberのトップランナーと言って差し支えない存在です。
そんな彼のトラックとぶぎぼのリリック、歌が合わさったこの曲の完成度は圧巻。もはやこの曲なしにVTuber楽曲を語るのはおこがましいと言っても過言ではないです。そしてMV。VTuberの曲のMVとしてはかなり珍しいと言っていい、夜の街をイメージしたお洒落な実写ムービー。やってることとんでもない。VTuberというカルチャーにおける新たなスタンダードを、わずか1年で創造しようとしている。末恐ろしいですよ。
これだけのレベルの作品を提示されれば、流石にBOOGEY VOXXに注目しない手はない、となること間違いなしだし、このアーティストが作るアルバムは一体どんなものかと興味が湧くはず。
アルバムのイチオシナンバー
さて、そんなBOOGEY VOXXの1stアルバム「Bang!!」は、彼らの活動1周年に合わせて制作された作品。個人制作の域を容易く凌駕する完成度を誇るこのアルバムの中でも、特におすすめしたい楽曲を取り上げてみます。
Flash Back City (feat. 紡音れい) (M3)
produced by IURA TOI
去年8月にシングルリリースされた、「Zero Project」所属のVTuber・紡音れいとコラボした楽曲。
「環状線の終電は未明 三原色の光景が奇麗」という最初のフレーズに象徴されるほぼ全部において韻を踏んだリズミカルな歌詞とバチバチのエレクトロハウスのサウンドに乗るどこか椎名林檎などを彷彿とさせるような都会的なメロディラインが心をがっちりつかんで離さないナンバーです。
Pray a LOVE (M7)
produced by filmiiz
アルバムの中で他とは違う趣を持つのがこちら。ジャズ/シティポップを取り入れたよりJ-POPに近いアプローチですが、そんなお洒落なサウンドの中でも勢いあるラップの魅力は衰えていません。ストリングスの音色やサックスソロなどといった他のナンバーにはない独特のパートがあったり、彼らの音楽性の広さ、それを自分のものにするスキルの高さを垣間見れる曲です。
HOPE (M12)
produced by 隣町本舗
6曲目「Ghost City Ciub」でもコラボしたV界隈を中心に活躍するシンガーソングライター・隣町本舗さんのプロデュース楽曲。アルバムでは「GOLDEN BATS」の後に配置されています。
「GOLDEN BATS」とは打って変わるチルアウトなTrapで、幻想的な雰囲気を感じさせる音作りはアメリカのトラックメイカー・Porter Robinsonに似たものがあります。実際彼の音楽はJ-POPから多大な影響を受けており、またこの界隈における彼の音楽の影響力も大きいので、インスピレーションは受けてるんじゃないかと思います。って思ってたらアウトロでいきなりBUMPみたいなギターが入ってきたのがすごかった。ずるい。この合わせ技は本当に憎い。個人的には「GOLDEN BATS」以外ではこれが一番好きです。
楽しみすぎる彼らの2年目
どうですか、なんとなくこいつらやばいな、みたいな感じになりません?
しかも何度も言ってるんですけど、何がやばいってこのレベルにたった1年で到達してしまっていること。Vっていうカルチャー自体色んな意味で新陳代謝はすごいですけど、個人の力だけでこれだけのクオリティの活動をして結果を出してるライバーは多分他に少ないんじゃないですかね。
ってなれば尚更、2年目の彼らがどれだけのことをやらかしてくれるかっていうのが楽しみになってくるんです。個人的にはやっぱり、個人勢は企業勢に比べて劣っているわけではない、むしろ個人勢だからこそできることもあるんだぜっていう所をもっと見せてくれたらなって思います。願わくばVTuberカルチャーそのものに革命を起こしてほしいし、それは本人たちも望んでいるところでしょう。そしてもうそれをやれるだけの力はあるなっていうのが上から目線かもしれないですけどアルバムを聴いた1リスナーとしての純粋な感想です。
というわけで、気になってくれたら「BOOGEY VOXX」、絶対チェックしてくれ!アルバムはもう既にサブスク配信している他、毎週金曜日に歌ってみたを投稿したりしてます。まさしく最前線。VTuberを語るうえでは外せない存在ですから。と、いった感じの記事でした。最後にYouTubeチャンネルとSpotifyのリンク貼っとく!絶対クリックして!
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