トラックメイカーの頂上決戦 ここなつ2.0「ホシノメモリー」全曲レビュー

thumbnail2021LetiaにとってのDJ

こんにちはです!

いよいよ今週、今年始まった頃から楽しみだった作品が解禁されました。

ここなつ2.0 「ホシノメモリー」

最初に情報が解禁された時に既にやばいトラックメイカーの名前がずらりと並んでてこれは一大事だと思ったんですけど、事前に公開されていた試聴音源とかは全く聴いてなかったので全部完全に初聴きだったんですけど、もう、

とにかく全曲恐ろしい。

評判通りどころかその斜め上を行く完成度。これは絶対全人類が聴くべきだと思うので、全曲レビュー、やっていきます。

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「ここなつ」とは?

KONAMIの音楽コンテンツ「ひなビタ♪」に登場する主人公ユニット「日向美ビタースイーツ♪」のライバルユニット。CVを手掛けるのは日南結里さん、小澤亜李さん。元々から実力のあるトラックメイカーやボカロPが楽曲提供しており、主な提供陣にはYunomi、lapix、sasakure.UK、tilt-six(敬称略)といった面々がいます。今回のアルバムと同時にベストアルバムも発売されたのでチェックしてみるといいですよ。

「ホシノメモリー」はこれまでから改め「ここなつ2.0」としての新たなスタートとなるアルバムで、元々実力派揃いだったコンポーザー陣を一新しさらに様々なフィールドのサウンドを取り入れた、「ハレ トキドキ メランコリック」と新曲8曲、計9曲のオリジナルアルバムです。

「ホシノメモリー」各楽曲レビュー

1. コスモランデヴー

作詞・作曲・編曲:ハヤシベトモノリ(Plus-Tech Squeeze Box)

ハヤシベトモノリさんは00年代から「Plus-Tech Squeeze Box」としての活動を通してエレクトロポップとネオ渋谷系を融合させた音楽を作ってきたアーティストで、ある意味では今に通じる俗にKawaii系と称される音楽のリファレンスにもなった存在かもしれません。最近の仕事でオススメは鹿乃の「KILIG」(編曲、作曲:田中秀和)。秀和さんのメロディを渋谷系×エレクトロニカで見事に自分のフィールドへ持ち込む編曲は見事でした。

今作「コスモランデヴー」はかなり直球のFuture Bass。個人的な印象として、リバーヴのかかり方が非常に癖になります。まさに現在進行形で夜空を旅している情景が目に浮かぶよう。それとコーラスのメロの動かし方がただ主旋律をなぞるだけじゃなくて、高低が逆転するような部分もあったりして、そこが凄く歌の厚みを増してて気に入った部分かなって感じでした。

ハヤシベさんのPlus-Tech Squeeze Boxのディスコグラフィはサブスクで聴けるので是非お勧めです。アーティストページを貼っておきます。

2. ステラレギア

作詞・作曲:KBSNK(TEMPLIME) 編曲:TOMOSUKE

あれ…何か毎月TEMPLIMEのこと紹介してない?凄いペースで曲出しすぎなのでは?いや嬉しいけど… そして今回の編曲はこれまでも何曲かここなつに楽曲提供しているTOMOSUKEさん。

1曲目のFuture Bassの後でシティポップ調が来るアルバム構成がまずいいなって思いましたね。またメロディとアレンジを違うコンポーザーが手掛けているのはこの手のジャンルでは少し珍しいですけど、TEMPLIMEの方を聴き慣れている身としては聴き馴染みのあるメロディに普段と違うサウンドが載ってるのが純粋に聴いてて面白かったです。

そして歌詞がかわいい。カボスさんって女の子だった?って錯覚しちゃうくらいにはかわいい。こんな言葉選び出来るのすげ…って思いましたね。

3. カシオペアノヒカリ

作詞・作曲・編曲:Batsu

Batsuさん。去年の秋頃に関西から東京に移住してDJとしてのキャリアをより本格化、この間24時間連続DJ配信とかいう狂気じみた企画をやってのけっちゃったすごい人。とにかく場の空気を作るのが上手すぎる。楽曲提供も音楽系VTuber中心に名前を見かけることが最近かなり多い。

3曲目のここで初めて明確にドロップが入った曲をぶっこんでくるスタイル。4つ打ちとダブステップ交互に混ぜてくるのがかっこいいですね。メロディがいわゆる詰め込み型じゃないのと、トラックの音数も少なめなのが幻想的な雰囲気を演出するのに買ってます。あとボーカルのオートチューンのかけ方が最高にBatsuさんだな~って感じ。Batsuさん最近DJで自分の声にオートチューンかけて歌ったりしてるので、普段見てるとあ~あれだ~って感じ。。。

4. ハートシェイプ・スピカ

作詞・作曲・編曲:colate

4曲目はcolateさん。MEGAREXの「SPD GAR」シリーズへの楽曲提供やDJとしての活動の他、ボカロPとしても「Hatsune Miku Digital Stars 2020」テーマソング「Wonder Style」を制作し同イベントのトリを務めるなど多方面で活躍するコンポーザーです。

曲の感想としては、とにかくcolateさんらしさ全開だなっていう感じ。自分がcolateさんを知ったきっかけだったサノカモメさんとの共同アルバム「Goodbye, Friend」の作風に近いFuture Bass+渋谷系ですね。ポップな歌モノとしての完成度はアルバムの中でも随一、と言ってもいいんじゃないかってくらい個人的に好きです。

この曲を気に入ってもらえたらぜひ「Goodbye, Friend」聴いてもらいたいですね。「honey kissing」が一番この曲の雰囲気に近いかな?

5. マーメイドペレパスィ

作詞・作曲・編曲:gaburyu

gaburyuさんも最近見かける機会がかなり増えた印象。トラックメイカー・nyankobrqさんとVTuber・ラッパーのyacaさんとのユニット「Genelation Z」としてのイベント出演だったり、nyankobrqさんとは「Hatsune Miku Digital Stars 2021」テーマソング「sweety glitch」を制作したりと、今目が離せない若手トラックメイカーです。

尖り具合で言えば間違いなくアルバム最強の曲。エレクトロニカに近い感じでメロディも音数も必要最小限の落ち着いた曲なのかなって思ってたら不意打ちで完全に「やってる」ドロップ流されたら笑うしかなくないですか?自分の曲とかRemixならめちゃくちゃ遊ぶのは知ってたんですけど、提供楽曲でまでここまでやってくれるのは最高の一言しかないですね。ドロップを強調させるためにあえて他はおとなしめにしたとかだったらもう完璧すぎますね。

gaburyuさんは自身の楽曲をSpotifyのプレイリストにまとめてくれてるのでめちゃくちゃありがたいです。VTuber・somuniaへの提供曲なんかが今回の曲と雰囲気が近いのでおすすめです。

6. リバース

作詞・作曲・編曲:in the blue shirt

in the blue shirt、京大大学院生としての肩書も持つトラックメイカーで、大衆的なものから実験的なものまで幅広いサウンドをものにしてます。最近はインターネット音楽周りでもその名前を目にする機会が増えていて、バーチャルユニット ・KMNZと「RECOAT」という楽曲でコラボするなど様々に活動しています。

素朴ながら落ち着きのあるメロディが繰り返されるボーカルと、ギターの掛け合いが印象的なトラック。やりたい放題やったマーメイドペレパスィの後のこれなので、シンプルであるが故の魅力が余計に引き立ってるんじゃないかなって気がします。会えない切ない感情を夏の空に込めた歌詞とギターの響きの混ざり具合が最高にエモーショナル。もう少し暖かくなった後の晴れた空の下で聴いたら最高なんじゃない?

アーティストページはさっき貼ったんですけど、この中の「Recollect the Feeling」というアルバムが、カットアップを駆使したユニークなサウンドで聴いてて楽しいと思うのでおすすめです。

7. ユニバース

作詞・作曲・編曲:パソコン音楽クラブ

まさかのパソコン音楽クラブ参戦。Beatmaniaに曲を提供してるので確かにKONAMIとの縁はあるんですけどここで持ってくるか…!って感じでした。

夏曲のリバースから一気に冬曲へ。最初のシンセのリフで完全に心を掴まれましたね。このディレイがかかった感じ、パ音の代表作である「reiji no machi」だったり、最近聴いたのだと音楽系VTuberのメトロミューさんの曲にも登場したような空気感。

このアルバム、全体を通して前の曲とのコントラストが印象的な曲が多いんですけど、この曲はしっかりと冬の夜空をモチーフにしていて、個人的イメージで夏の青空って感じのリバースとは真反対の曲。この相反する2曲のバトンも、個人的には聴きどころ何じゃないかなっていうのを感じましたね。

8. ハレ トキドキ メランコリック

作詞:栗原暁(Jazzin’park) 作曲:栗原暁, Mitsunori Ikeda 編曲:Mitsunori Ikeda

今回のアルバム唯一の既存曲。栗原暁さんは久保田真悟さんとのユニット「Jazzin’park」としての活動の他、NEWSやKis-my-ft2といったジャニーズのユニットの楽曲プロデュースやアニメガンゲイル・オンラインED「to see the future」など非常に実績豊富なアーティスト。編曲のMitsunori Ikedaさんはワルキューレ「絶対零度θノヴァティック」の編曲が有名で、主にドラムンベースに非常に定評がある作曲家です。

渋谷系チックなメロディラインと最近のインターネット音楽系の影響を強く受けたようなFutureサウンドの融合が印象的。さらにこれだけではなく2番Aメロでは2step・Garageを取り入れるなど様々な展開を見せます。Mitsunori Ikedaさんに関してはやっぱりさっき言ったみたいにワルキューレの印象が強いのでこんな編曲もできるとかもう無敵じゃない?って感じで。また、「メランコリック」に対して「知らんぷり」「トランポリン」で韻を踏むリズミカルなサビの歌詞も注目です。両方とも語感、特に半濁音がバックのコロコロした電子音と非常にマッチしてるなーって感じがするんですよ。伝われ。

9. イエルウタ

作詞・作曲・編曲:yuigot

ラストを飾るのはインターネット音楽界隈注目の若手トラックメイカーyuigotさん。昨年末長谷川白紙とのコラボ楽曲「音がする」がZ会CMソングに起用されたことで注目されたりもしました。また去年からはボカロPとしての活動もスタートさせており、オリジナル曲「夢をみる島」や「メルティランドナイトメア」のRemixなどを投稿しています。

様々な曲が入ったアルバムの最後は8分の6拍子のエレクトロニカ。yuigotさんの曲というとこれまではキラキラしたKawaiiポップが多かったのでまさかこんな曲が来るとは、っていう驚きがまずありました。途中2番Bメロで急に陽気なワルツになったり曲の展開を見てもとてもユニーク。サビで鳴っているグロッケンらしき音だったり所々yuigotさんらしさは顔を覗かせてはいるんですけど明らかにいい意味での異質さを感じる。yuigotさんってこんなのもできたのかっていう気持ちで圧倒されましたね。

まとめ

何か半分近く各コンポーザーの経歴やバックグラウンドの紹介みたいになってますが…以上9曲、そして全楽曲インスト付き。言えることはただひとつ、

とにかく聴いてくれ!!!!!!

それぞれの楽曲、曲順、どこを取ってもこれ以上ないと思える最高の作品。2021年のオタクソングこれ聴かないことには始まらない、と言っても過言じゃないです。

それから曲が気に入ったらここに貼ってあるような各コンポーザーの個人活動を聴いてみてほしいですね。やっぱり何のコンテンツの曲にしても、コンポーザーのバックグラウンドを知ったうえで聴いた方が何倍も面白いと思ってるので。特に今回みたいなコンポーザーがソロアーティストとしても強い人達みたいな場合は尚更。

と、いうことで今回はここなつ2.0「ホシノメモリー」のレビューでした。これからもまだ書きたいことがちょくちょくあるのでできるだけ早く形にできるように頑張りますね。ではでは、今回もお付き合いいただきありがとうございました!!!

コメント

  1. めり より:

    おそれながら、7曲目の曲名に誤字があるかと思われます

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