国産エレクトロニカを最近掘ってる話

thumbnail2021おすすめの曲紹介

何か久しぶりになっちゃった。ご無沙汰してます。。。

最近、国産のエレクトロニカを掘るのにハマってまして。日本ではまだまだマイナーなジャンル…な気はするんですけどいいアーティスト結構いるんですね。今回はその中から4組ほど、メモ書き的に紹介しておこうかなーと思います。何卒。

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Serph

読み方は「サーフ」。4月にやってたPorter Robinson主催のSecret Sky Festivalに出演してたので知ってる人も多いかもしれませんね。「日本エレクトロニカ界の寵児」とか言われちゃってるすごい人。2009年より活動を開始。1stアルバム「accidental tourist」はピアノを始めてわずか3年で作ったらしい、まさに天才。

この人の音楽の特徴としては、環境音が主体のアンビエントというよりかは土台としての旋律があって、そこに環境音を巧みに足して世界観を作っている、言うならポピュラーミュージックの枠の中にエレクトロニカを組み込んでる、っていう感じが強いです。なのであんまりこういうジャンルに馴染みがないっていう場合でも割と聴きやすい部類のアーティストのような気がします。作りとしては劇伴音楽に近い感じですかね。

ただこの人はこれだけじゃなくて、よりコンテンポラリーな楽曲を作っている別名義Reliq(レリク)、ボーカリストNozomiさんとのプロジェクトN-qia(エヌキア)と複数の顔を使い分けて色んなテイストの曲を作ってます。特にReliqの方はIDMに近いような、本格志向の複雑な音楽が多いです。

ちなみに、去年12月にでたやなぎなぎさんのアルバム「エメラロタイプ」に収録されている「asterhythm」という曲の作編曲を手掛けています。なぎさんは元々エレクトロニカをルーツとするボーカリストでアルバム全体としてそこへの回帰色が強いんですけど、これはエレクトロニカをベースにさらにストリングスなどの器楽的アプローチやリキッドファンク(ドラムンベース)の要素などが加わった、彼の才能を堪能できる名曲です。

Chouchou

読み方は「シュシュ」。ボーカルjuliet Heberleと作曲家arabesque Chocheからなるユニットで、セカンドライフという仮想チャットサービスを通して結成されたみたいです。

音楽性としては、クラシックに非常に色濃く影響を受けていて、それを上手く電子音楽のフィールドに落とし込んでいる感じ。ポストクラシカルとか呼ばれるものに近い…のか?arabesqueさんは国立音楽大学を首席で卒業しオーケストラとの共演などもこなされているようです。

そんな彼らの曲の中でも個人的に好きになった、というより度肝を抜かれた曲が「1619Khz」。という曲。無機質なトラックとともに始まるごく普通の道路交通情報のラジオ。それが少しずつおかしくなっていく。そして突然流れる「梟が肉を拾っている」という一報。そこからどんどん狂っていく。「男の子が泣いている」「昔の恋人が夢を食べている」と、ありえないような文言が次々流れてきます。まるで現実の壊れゆくさまを表現しているかのよう。また実際のハイウェイラジオは1620kHzなので、曲名から既に「非現実」が表現されてるんですね。

この曲が収録されたアルバム「Night and Wanderer」は、その名の通り「夜と旅人」をイメージしたコンセプトアルバムで、非常に世界観が作り込まれた一枚です。これ聴きながら深夜の首都高をゆっくり走りたい。ゆっくり。

matryoshka

トラックメイカーSenとボーカルCaluによるユニットで、2007年から活動を開始。

このアーティストもやっぱり西洋音楽の影響が強く、アンビエント的な音使いではあるもののどちらかというと楽器の音色が主役、という印象を受けます。特に聖歌・宗教歌といった方面からのインスピレーションが強いみたいです。そうした土台があって、そこに空間を敷き詰めるように電子音が組み込まれている感じ。

彼らの作品の中でも特に評価が高いのが2ndアルバム「Laideronnette」。アルバム名はラヴェルの組曲「マ・メール・ロワ」の「パゴダの女王レドロネット」から取られたようです。これをエレクトロニカというジャンルに片付けてしまうには惜しいほどストリングスをはじめとした楽器帯の荘厳なアンサンブルと、そんな神聖な空間を漂う雑踏のように敷き詰められる効果音。美しいようで脆いような、そんな世界観に浸れる1枚です。

Go-qualia

ニコニコ動画出身のトラックメイカーで最初は主にアニソンのRemixから活動を開始。アニメキャラの音声だけをサンプルに曲を作るなどの活動もしていたみたいです。映像作家・写真家・VJなどとして知られるNaohiro Yakoさんと自主レーベル「分解系レコーズ」を主宰。秋葉原MOGRAで開催されたイベントに出演していたことも何度かあるみたい。

ここまでで紹介してきたアーティストの中では一番「アンビエント」という表現が似合う方なんじゃないかと思います。またアニメから強い影響を受けていることもあってかこれまで出された2つのアルバムはいずれも一つの物語仕立てなのも特徴です。1stアルバム「Puella Magi」はその名の通り魔法少女、2ndアルバム「Xeno」では星の生涯がテーマになっています。

おすすめしたい曲は「Betelgeuse」。ボーカルにやなぎなぎさん、語り部にFateのイリヤ役などで知られる門脇舞以さんを迎えて作られた曲。ベテルギウスはまさに死期が迫っているとされる星であり、そんな巨大な恒星が生涯で一番の輝きを放つ瞬間、超新星爆発。そんな生命と死の神秘への想いが壮大な電子音と共に歌われる一曲。MVは矢向さん制作。ぜひMVと一緒に堪能してほしい作品です。

あとがき

今回は日本ではまだまだマニアックであろうエレクトロニカの紹介を今回はしてみました。ただいろいろ見ていくと、偏にエレクトロニカといっても様々で、日本のアーティストのものだと今回紹介したものみたいにクラシカルを基盤に電子音を加えていくみたいな、あくまで西洋芸術音楽の延長線上にあるような作品が多いなって感じです。現代音楽よりはポピュラー寄り。

あとは大衆音楽と違って芸術性に重きを置くので、やっぱり一曲当たりが長いです。5,6分は当たり前で8分を超えたりするのもザラだったり。でもたまにはこういうのもいいんじゃないですか?サブスク時代になって、再生回数重視な傾向にありがちな今だからこそ、こういうじっくり聴く音楽の価値が再認識されてほしいなーっていう気持ちがありますね。

あとこの手のアーティスト、例外なくジャケがいい。正直言っちゃうとこの手のアーティストdigる時このアルバムのジャケいい!聴いてみよ!でかなり選んでます。というかそれで大体外れない。デザインまで自分でこなすアーティストも多かったりして、音楽だけじゃなくて作品全般へのこだわりがすごい界隈です。

そんなこんなで今回の記事でした。こんなアーティストおすすめだよ!みたいなのあったらコメントしてください。digに終わりはないので。ではでは今回もありがとうございました~~~。

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