「電音部 1st GAME」から、AIDJとリアルDJの未来を考えた

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ご無沙汰してまーす!!!!!!

つい昨日、僕が推してるコンテンツ「電音部」さんの記念すべき1stイベント、

「1st GAME -αテスト-」

なるものがありまして。で、そのイベントがとにかくやばかったんですよ。これはちょっと鮮度の高いうちにレポート的なものまとめなくちゃいけないなと思いまして。ってわけで怪文書ダラダラ書きます。お付き合いください。。。

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「電音部」のイベント展開

そもそも電音部、何をやってくの?っていうのが発足9ヶ月目にしてようやく少しずつ明らかになってきました。

電音部の主なイベントの軸は3つ。

キャスト歌唱中心のイベント「LIVE」

DJ・トラックメイカーによるクラブイベント「PARTY」

AI・3Dモデルを用いた対戦形式のイベント「GAME」

そのうちの「GAME」のαテストとして開催されたのが今回のイベントでした。AI・3Dモデルはバンダイナムコ研究所が開発する「BANADIVE AX」の技術を用いて選曲や繋ぎをAIに学習させ全て自動で行う、というもの。

これこそが電音部と他のコンテンツの決定的な差異だと思っていて、キャストのライブなんて他の数多あるコンテンツがやってるし、いくらバンダイナムコの企画力とはいえ巨大EDMフェスっていう存在自体は他でもできるじゃないですか。ただAIの学習したデータを元にキャストではないキャラクター自身がステージに立ってパフォーマンスを行う、なんてことは現状電音部のコンテンツ性とBANADIVE AXの技術を持つバンナムにしか出来ないことなんですよ。それだけに、今回のイベントは今後の電音部への期待値を占う重要なイベントだったんですね。

想像以上だった、AIDJの完成度

で、結論もう見出しに書いちゃいましたけど、完成度は完全に想像の斜め上だったわけですよ。これを人間じゃないものがやってるってことをにわかには信じ難いレベルでしたね。

今回のαテストは「アキバエリア」と「ハラジュクエリア」に分かれて視聴者の反響の大きさを競うというルールでした。そして解説がDJ和さん、TAKU INOUEさんという謎の豪華ぶりなのも面白かったですね。

そんな中でのトップバッターはハラジュクの犬吠埼紫杏ちゃん。ハラジュクエリアでNorさんの書き下ろし楽曲「ミルキータイムライン」でスタートすると、オープニングらしい終始落ち着いたBPM帯で、Yunomi「インドア系ならトラックメイカー」、きゃりーぱみゅぱみゅ「原宿いやほい」、CAPSULE「Sugarless GiRL」といった「原宿カルチャー」に象徴されるコンポーザーの曲で畳みかけると、終盤にはpicco「Tokyo Future Girl」、livetune「Yellow」といった、ある意味サブカルチャー音楽の象徴的存在であるVOCALOIDにも触れる幅広い選曲を見せ、それを1つのコンセプトに見事に集約させるプレイングでした。

次にプレーしたのはアキバの茅野ふたばちゃん。このターンはキャラ自身がアイドルに憧れる存在であることなどを加味したアイドルソングオンリーのMix、そしてさっきまでとは打って変わった高BPMなスタイルが印象的でした。僕そこまでアイドルには詳しくないんですけど、クラブ系サウンドに限らず様々な音楽を利用していく方針を見て取れるプレーでした。アキバのユニット曲「Hand Over」からスタートして中の人である堀越せなさんが所属するMi☆nAや虹のコンキスタドール、ZOC、でんぱ組.Incといったアイドルの楽曲で盛り上げ、最後自身のBPM195の「アイドル狂戦士」に持って行くセトリ。こういう他と違うコンセプトの強いDJが真ん中あたりに1人いるとイベントってめちゃくちゃ楽しいんですよね。この思い切ったプレイングで既に盛り上がりは最高潮に。

3番手はハラジュクの桜乃美々兎ちゃん。まさにKawaii×サブカル、「暴力的にカワイイ」のコンセプトをそのまま準えたようなプレーでした。最初に自身の持ち曲「Princess Memeism」でスタートさせると、この界隈ではお馴染みのアーティストであるNeko Hacker、HoneyComeBearの楽曲で繋いでいきます。そして個人的にツボだった選曲が鹿乃さんの「光れ」。作曲を田中秀和さん、編曲をNorさんという異色のタッグで制作された楽曲がここで流れました。その後未公開の新曲「シロプスα」などを挟み、周防パトラ「ハートサーモグラフィー」からの「Hyper Bass」という繋ぎを披露。BPM、キーを考慮するとこれが最高の繋ぎで、AIがここまで最適化された判断を下せるのは感動でしたね。そして最後はBPM200の「電脳ロリポップ」で締め、イベントはいよいよトリへ。

トリはアキバの日高零奈ちゃん。最後は主人公の風格に相応しい、インターネット系DJの定番ソングのオンパレードを見せてくれました。ユニット曲「Blank Paper」、TAKU INOUEさん作曲「Mani Mani」と始めると、次に流したのは作詞・作曲TAKU INOUE、編曲kzという黄金タッグで制作された内田真礼「ハートビートシティ」。そこからは怒涛のVTuber楽曲メドレーでした。TEMPLIME feat. 星宮とと「ネオンライト」、KMNZ「VR」、Marpril「Girly Cupid」など電音部に提供するコンポーザーが手掛けた曲も交え、最後は自身の楽曲でクラブカルチャーを象徴する楽曲「Favorite Days」で締める圧巻のMix。VTuberというと、アキバではクラブ・エンタスを中心にV×クラブミュージックの流れは根付いていて、それを表現したプレーでもありました。

最終的な結果はアキバが15万pt近い差をつけ勝利しましたが、どのDJもAIDJ初お披露目とは思えないハイクオリティなものでした。その中でも注目したい点は2つ。

1つ目は各エリア・キャラクターのバックグラウンドが見える選曲。アキバならそれぞれ、アイドル、VTuberというオタク文化に着目したコンセプチュアルなMix、ハラジュクならKawaiiとサブカルに着目したオールラウンドなMixといった具合、さらにBPM帯などにそれぞれのキャラクター性の差なども細やかに反映されていて、AIの予想以上の学習能力の高さにびっくりしました。

そして次に、様々な繋ぎのバリエーションを披露してきたこと。去年秋の試作段階ではカットイン(今かけている曲から即座に次の曲に移行する繋ぎ)だけだったんですけど今回はそれだけじゃなく、ロングミックス(今の曲に次の曲を重ねてかけ、徐々に音量を調整していく繋ぎ)も少し見せてきて、この短期間での進歩に驚かされましたね。と、いうか、もうこの時点で普通に技術的な面では人間がするDJとほとんど遜色ないんですよ。DJ?AIでいいじゃんってなるのはもしかしたら時間の問題かもしれないですね。そこで、じゃあ人間がDJをやる意味は?っていうのが次のトピックです。

「人にしかできないDJの可能性」の追求

しかし電音部さん、かたや人間のDJを淘汰しかねない技術を開発しておいて、一線級のDJ・トラックメイカー、つまり生身の人間によるイベントも同時に企画してるんですよね。これ、一見すると相反するのでは?っていう風にもなりかねないんですけど、実はこの「PARTY」、もちろん自社囲い込みで大型フェスをやりたいというメインの思惑の他に、「AIではできない、人間にしかできないパフォーマンスを追求する」というもう一つの狙いがあるようにも考えられるんですよね。

となると、現状考えられる「これは絶対AIじゃ勝てない!」っていう点は何でしょう?個人的にまず思ったのは作曲者がかけることによる文脈的補正。こればっかりはAIはどう足掻いても超えられないですね。去年からイベントに行ったり、オンラインイベントを見たりしてきた中で、やっぱりある曲を作曲者がかけるのとそれ以外の人がかけるのって全然説得力が違うんですよ。やっぱりより場を盛り上げるには電音部のようなコンテンツのイベントだとコンポーザーが直々にパフォーマンスを行う機会はどんなにAIが進歩したところで必須かなとは思いますよね。

じゃあコンポーザー以外のDJの場合は?となると、これはむしろ体を使ったノリ方だったりトークスキルだったり、あとはAIでは真似できない細かい部分までのその人の趣味だったり。プレー以外におけるその人の個性ってやつです。その方面で僕が見ててすごいなって思うDJさんがBatsuさんやDJ WILDPARTYさんで、彼らって技術ももちろんなんですけど、今言ったような部分を全部ひっくるめたパフォーマンスとしての完成度が凄く高いなって思うんですよ。そしてこの人のプレーなら金払って見たいなって思わせるものがある。まぁ、要はDJという行為にも個性が求められるようになっていて、AIの台頭はその後押しをするものじゃないかな、と。こうやって考えてみると、別に生身のDJが直ちに淘汰されるっていうわけではない気がしますね。

例えがちょっと極端ですけど、別に初音ミクが出て、生身のボーカリストの価値が下がったかって聞かれたら、全然そんなことはないでしょ?でもVOCALOIDの登場は、じゃあ人間の歌でしかできないことって何だ?っていうのを考える機会を与えたと思うんですよ。それと同じことがクラブカルチャーで起きようとしてるって考えられるんじゃないかと思いましたね。単に「上手い」だけじゃない、それとは別の要素がこれから重要視されていくと思うし、PARTYはそれを確かめる手段としての役割を果たしていく気がします。

あとがき

以上がライブレポートと考察でした。いや、後半何を客の端くれごときが偉そうにって話なんですけど… やっぱり音楽に限らず芸術分野って、AIが人間以上の力を持ったら人間要らないとかそんな単純なものではないじゃないですか。AIが人間並みのパフォーマンスができる!すごい!とか、AIに場所を奪われる!やばい!みたいな一面的な感想じゃなくて、AIすごいね、じゃあ人間は人間にしかできないことを作っていこうみたいな感じに持っていけたら全てがいい方向に行くんじゃないかな~って気がしてます。もし電音部さんがもうそういうビジョンを考えて企画していってるならもう感服するしかないですね。

そしてそして!!!!!

その「電音部 1st PARTY -NEO MIX-」が開催決定!!!!!

7月10日、新木場ageHaでこのメンツ。いや、これは事件なんですよ。そしてこれで第1弾ということはまだこの後にも出演者が控えてるってことですよ。IP始動から9ヶ月、やっと待ちに待ったイベントだって思ったら初っ端からこんなの仕込んでくるんですよ。流石バンナム過ぎる。個人的にはNeko Hacker、ハレトキドキあたりの出演が熱いですね。何はともあれこのメンツ、初心者から熟練まで楽しめるのでクラブ行ったことないよって方もぜひ参加ご検討願いたいイベントです…本当に大丈夫、この手のイベントはチャラくないから!普通のオタクイベントと同じ感覚で来れば絶対楽しめるから!僕も頑張ってチケット争奪戦勝ち抜くのでぜひ一緒にデカ音楽聴いて騒ぎましょう!!!

といった感じで、いや~電音部、ますます楽しみなコンテンツになっちゃいましたね。音楽、もっと盛り上げて行こうぜ… ってことで今回の怪文書終わり。クソ長文書になってしまいましたがお付き合いありがとうございました!近々またお会いしましょう!!!

コメント

  1. l より:

    Batsuくんもワイパも曲書くのでコンポーザー以外のDJと括られるように見えるのはあれですね。いや言いたいことはとても分かりますよ。

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